立会

ユサレイカとの出会い

いくつものガラスケースが壁沿いに立ち並ぶ薄暗い実験室 ケースの中は液体で満たされ、
人の形をした怪しい生物が浮かんでいる 黒いマントの人間が手に炎を灯し、
ゆっくりと部屋の奥へ進んでいく そして、2つの割れたガラスケースを見つけ息を飲んだ

その一つの前に転がる人物がピクリと動いた
背中に手を回し、体を起こして声をかける
「僕の言葉が分かるかい?」
「ぁ…あ……」
「…あ、なた、が、まおう…さ、ま……」
一瞬戸惑ったが、まっすぐ目を向ける
「そう、魔王だ」
「魔王…さま……おあい、できて、光栄です……」

「君は…?」
「私達は……魔王様によって、人工的に作り出された悪魔です……」
「悪魔…だって…」
「はい、実験は、成功したのです…」
「……」
「まだ、私しか目覚めていない、ようですが……あっ」
驚いた先、割れたもう一方のガラスケースに目を向ける
「脱走か…」

抱き起こした悪魔に闇のマントを着せて連れて行く
階段を登り地上へ出た
荒れ果てた大地にへたりと座り込む似たような人型を見つける
灰色の虚空をじっと見上げていたが、足音に気付き振り返る
「だれ!」
「魔王だ」
「キミが……まおー…ちゃん……」

「そっか…どこか遠くへ行っちゃったと思ってたけど……気のせいだったんだぁ…」