今はそれを昇華しようとして、創作作品として跡を残そうとしているのを感じる。
昔の話だ。オレは出会ってすぐ、こいつのただの話し相手だった時から、何かを感じていた。
暗いなにか、感情のような。空洞のようなもの。
--例えば駅で電車を待っているときに、体なのか心なのか どこかにぽっかり穴が開いていて、そこを風が通り過ぎていく感覚。
やけに線路の下が気になって、ぼうっと底を見つめているおぼつかない感覚。
……何年か前にこいつが書いていた作品にあった描写を借りた、というか、ほぼ当時の状況をそっくりそのままオレは数年越しに感じていた。
一体何があったのか。
それについてはお前自身が言うだろうし、しっかりその作品に書いていたから、オレが話すのは蛇足だ。
何ならこれからリライトで書くだろうからな。意味ないかもしれねえ。
それでも、今また向き合おうとしているそれを無視するわけにもいかない。
オレの問題ではないだろうけど、
オレは、こいつのために少しだけ言葉を向けてやりたい。
一度出来た心の傷は、そう簡単に治らない。綺麗にならない。
一度無くなった大事なものは、幼いながらに初めて得た、かけがえのない唯一のものだった。
同じものが見つかるわけがない。
代わりがあったとしても一生埋まらない、埋められないのだろうと思う。
歪んだ固定観念もそう簡単に直らない。
それは、時に恐怖や怒りを伴う。
時折、どうしようもなく消えたくなる衝動に駆られている。
「生きているのも死ぬのもダメで。」
「生まれてきたのが間違いで。」
お前はそれを「業」だと言う。
記憶から、この世界から、無かったことになりたいと言う。
そして、「理解されるわけない」とも、お前はこっそり心の中だけで言う。
オレはその言葉達を生まれてから今まで朝から晩までずっと聞いていて、オレも今や影響されて引っ張られている。
お前の完璧主義のハードルがそびえ立つ壁のように高いのは、理由がある。
お前の自己肯定が異様に低いせいもある。
世界には美しいものがたくさんあるから、それを作り出せる人間がたくさんいるから、というものある。
存在理由を探すのは、悪いことじゃない。
人間は必要とされたい生き物だ、っていうのはお前も言ってただろ?
でもお前は、代えの効かない依存対象にされることへの嫌悪も、背中合わせに持ち合わせている。
だから、居場所がないと思い込んで、作ってはいけないと思い込んで、各地を転々と飛び回っているのかもな。
ただ、これだけ暗いものを抱えていたのに。
お前が自分の事を、ネタにして面白おかしく書いていたのは。
オレは正直驚いたというか尊敬した。
なんでだと思う?たしか当時言っていて、「こんな人生を歩んできたから、何かにしないと可哀想」…だったか?
意味合いはちょっとうまく合ってないかもしれん。すまん。
お前は、創作作品を、特に空想世界を描くことを「使命」だと言っている。
これをやり遂げないと死んでも死にきれないらしい。
ちょっと重すぎるかもしれないが…。
お前にとって大事なものを、オレは一緒に手を差し伸べて包んで、大事にしたい。
作品にすることは、お前にとって暗い気持ちになるそれと向き合う時間を与えてくれる。
だから、作品を短時間にコンスタントに出していくのではなく、じっくりと時間を掛けて描き込んでいたり考えていたりするんだろう。
たまに筆が遅すぎて作品がすぐ仕上がらない 見てもらえない と悩んでるのをよく見かける。
忙しくて遠まわしになって、なかなか手につけられないまま過ぎていきそうになるのもよく見るんだ。
それでも「何度でも立ち上がって」描く。
リライトにはそういった願いも含まれているのを知っている。
お前の人生が、今後、どんな局面にぶつかっても。
何度でも、立ち上がってほしい。
抱えていた暗い気持ちが溢れてぐしゃぐしゃに崩れたときは。
オレが、全力で助けてやる。
言葉すら出てこなくて何にも言えなくなっても、
理解できる、と断言はできないけど オレだけは理解していたい。
安心してゆだねてほしい。
オレはお前のそういうところを補ってやりたい。力であったり自信であったりしたいんだ。