「花畑の君と僕」、「魔王と秋良」の二本ごちゃまぜ。「伏線」の補完の話。
***
眠っている秋良。(屋敷か、もしくは白い装置の中か?後で決めておいて。黒く、フェードインしていく。)
あの時。
君と僕のどちらが正しくて、どちらが間違っていたのか。
そんなの。どちらの立場に立つかで、事の天地はひっくり返ってしまうだろう。
だけれど、僕は確かに、あの時から。
君に対して 背負った罪の意識を、芽生え始めさせていたんだ。
***
薄い空色と黄色の夕暮れ色が微かに色づく花畑で。今日も僕は籠を無言で突き出し、君に贈り物を渡した。
昨日よりもしっかりと、喜びの顔をして言葉を返す創造神。
「きょうもよういしてくれたの?ありがとう」
「…どういたしまして」
僕はその日初めて、君から感謝の気持ちをもらった。
けれどそんなに嬉しくはない、用意されたものを渡しただけだからね。
(でも)
「あきらはやさしいこだね」
「………」
二人並んで近くの展望台に座る。
ずっと創造神の膝の辺りに目線を向けている秋良。
「けほっ…おいしいね」
「そうなんだ」
「うん…とても」
創造神が少し苦しそうに飲んでいる様子を見て、違和感を感じたが
秋良は何も言わなかった。
もくもくと時間が過ぎて行っていたが、しばらくして慌てた声がした。
「あっ…。あきらもたべたかった?」
「………」
「もうくちつけちゃったから、あしたは――」
小さくちぎったパンの、最後のひと欠片を飲み込む創造神。
「ううん。あしたもきてくれるかなんて。わからないもんね」
次の日。想像神も予想していたのか、僕がそこにいた時には、既に展望台に腰かけて待っていた君がいた。
「うそ。きょうもよういしてきてくれたの?」
(ここ秋良の後ろ越しに、二人一緒に写っている)
「ありがとう」
(だから、うれしくないんだって)
「あきらはほんとうにやさしいこだね」
「………」
(僕には、君が。でたらめを言っているようにしか聞こえないよ)
「おいしい、ね」
「そうなんだ」
「うん……とても」