5* 反省室

 

「入れ」

そこは照明の付いていない、薄暗い教室だった。

四面の壁の天辺が見えないほどに高く積み上げられた机や椅子。その雑然と積み上げられた机と椅子の壁の他に、学習道具や掲載物などの物の類いは一つもない。

ただ、部屋の中央に一式の机と椅子が、いやに存在感を放って置かれていた。

いくつもの威圧的な視線を背に、僕は部屋の内部を確認した後、おぼつかない足で数歩中へと歩いた。
するとひとりでにドアが閉じられ、何か金属のような硬いものがドアの向こうでガチャンとぶつかる音がした。くぐもった数名の足音が遠ざかっていく……。

閉じ込めた、のか。
そう思いつつ、机に向き直った。椅子の背を引き、腰を掛ける。

ようやく休める、そう思えてようやく長い長い息を付いて、うずくまった。

 

何だ、これ、は。
上手く息が、吸い込めない。
椅子に腰かけ軽くなったはずの体は、重力がかかっているかのように重く、経てども経てども苦しくなるばかりだった。

 

 

 

一体。どれくらいの、時間が経ったのだろう。
朦朧し始めた僕の脳内に、暗い気持ちが侵入していく。

 

違う。

僕が…彼女を……。

彼に……託されたのに、僕は、止められずに……。

僕の、目的は……

……

…。

 

 

 

薄暗さが次第に暗くなって黒に染まっていく。

微かに輪郭がぼやけて見えるくらい、暗闇が僕を支配しきった頃。
夢を見た。
動かない体。暗闇に蝕まれる視界。黒く染まる手。不安な眼差し。泣き叫ぶ声。
数えきれないほどの異様な既視感に襲われ、目を閉じた。

 

ああそうか、思い出した。

これは、罰。その、続きなんだ。

そうして、世界は真っ黒になった。