直す屋直人とgateの話 Xデー

獣道がうっすらと残る緑豊かな森。時折、顔にかかる木々を掻き分けて進んでいく。

ひっそりと佇むボロボロのレンガのトンネル、その中央は黒くもやもやとしている。

その黒いトンネルを通って、本来Gateがあるべき場所へと帰っていった。

潜り抜けた先にあったのは、広い空間。
薄緑の荒い岩石が突き出し、山々に囲まれたすり鉢のような形をした、小さな国だった。

しばらく歩いていると、人が現れ、Gateに声をかけた。
声をかけた人物は、この国の住民ではないGateがトンネルを抜けてきたことに驚きを示した。
Gateは、自分がこの国の門であること、かつて国から逃げて行ったが、戻ってきた事を正直に伝えた。
(Gateは、何を言われてもいい、と覚悟ができている目をしていた。)

国の住民は、声をあげた。
とても嬉しそうに、大声で国の住民達を呼び寄せた。そして、国の住民全員が集まり、Gateを大いにもてなして、歓迎した。

目が覚めると、国だった場所は朝日に照らされていた。
突き出した荒々しい岩だけが、Gateを囲んでいた。

それは、人の心を持ってしまったがために見てしまった、幻想だった。

Gateは、持ってきていた銀色の硬花を置き、故郷を後にした。