ちいさなおはなのこ

これは あるもりにすむ ちいさなおはなのこの おはなし

 


おはなのベッドでねていた ちいさなおはなのこ は めがさめました

あたまのおはなのうえでは
とりたちは はやくちでおしゃべりして
くさばなは くすくすとおかしそうにわらっています

そのおしゃべりはうるさくて いっこうにやみません

“わたしのちいさなこえじゃ きっときいてもらえない”

まだねむそうに めをこすっていたちいさなおはなのこは あいさつもせず りょうのてのひらで ひらいたばかりのおはなをおさえて しずかにおはなのベッドからおりていきました

 


あたまのおはなのくきにリボンをまいておめかしをした ちいさなおはなのこは もりにでかけました

かえるは ふへいふまんをいいあって
こいしは いかりでぶつかりあっていました

そのあらそいをしずめたくても とてもわってはいれません

“わたしのちいさなからだじゃ おしつぶされちゃう”

こわくなってめとおはなをぎゅっとつぶった ちいさなおはなのこは きのあいだを しずかにとおりぬけていきました

 


もりのおくにやってきた ちいさなおはなのこは やくそくをしていたおともだちに あいました

ちいさなおはなのこのために おいしいケーキをやいて まっていてくれたのです

それがうれしくって ちいさなおはなのこは おれいのきもちをこめて けさゆめのなかでみた たのしいおはなしを しました

でも おきてからさっきめにした できごとは ほんのすこしもいいませんでした

“こんなにすてきなじかんを よういしてくれたのに かなしみにそめたくないもの”

 


がけのすみっこにすわった ちいはなおはなのこ のおはなは くらやみにつつまれたみたいに どんよりしていました

“わたしはこんなにめぐまれているのに どうしてかなしいんだろう”

ゆうぐれいろにそまるおいけをみて ぽつりとちいさなしずくをおとしました

“あなたのちいさなうで では あふれてしまうわね

でもいいのよ

りょうていっぱいに かかえられる だけでいいの

あなたのまわりにいる ちいさなせかいにすむひとびとを だいじにしてね”

ちいさなおはなのこは とつぜんきこえてきたこえにびっくりして かおをあげました

そこには おいけにうつりこんでいた ゆうぐれいろのそらがいたのです

そらは ゆうぐれいろのひかりをふりそそいで ちいさなおはなのこのあたまを そっと なでて ゆっくりと ゆっくりと しずんでいきました

あたまのおはなをめいいっぱいにさかせた ちいさなおはなのこは おそろしくくらい よみちにまようことなく まっすぐにかえっていきました

 


それから

おはなのこは まいにちできるかぎり とりや かえる こいしたちに
あいさつをして はなしをきいてあげるようになりました

もりのじゅうみんにおびえていた ちいさなおはなのこは もうこのもりにはいません
おおきなおはなをいつもさかせて えがおをみせてくれる すてきなおはなのこへと かわったのです

そうして みんなは おおきなおはなをさかせた おはなのこをみかけると あかるいこえをかけるようになったので
もりのじゅうみんのあかるいこえをきいた もりも すっかりげんきになっていきました

そうして やくそくのひには
おはなのこは おともだちといっしょにダンスをおどって たのしいじかんを すごしましたとさ

 

― おしまい ―

 


以前、ここで出した「もえちゃんのお気に入りの本」のお話でした。どうだったかな?