「もおおおおおぉ悔しいっ!!!」
秋良の屋敷、共有の広間に飛び込んだレイカは開口一番そう叫んだ。
地団駄を踏み、床をごろごろと転げ回る。
広間へ通りかかったユサが、見かねて声をかけた。
「ねぇ聞いてよユサっち!お堅い魔女達がさあ!『悪魔は生まれたてのベビーちゃんでちゅね~よちよち!』ってゆーんだよ!!ひどくないっ!?」
「それは……私達、悪魔は他の種族の方々に比べたら日も浅いですし……仕方がないかと……」
「あー!ユサっちまでそーいう!!」
「ひえっ、あ、あの……歴史のある魔女の方々も、私達悪魔も、違った良さが、ありますから……!」
「そっ!だから言ってやったよ!『魔女だって化粧(魔法)取ったらヨボヨボのおばちゃんじゃん!』って!!」
「…!?><」
「そんな口論をして、よく無事に帰って来れたね」
「…あ、秋良様っ」
「キサナっちがいたからねー!逃がしちゃったからコテンパンには出来なかったけどー」
「レイカさん…!喧嘩はあれほどお止めくださいと言っ……」
レイカとユサが話に夢中になっている一方、
「やれやれ。ユサが説教をしてくれるなら、僕は用無しだな……」
(その間に、傷の手当てをする者を遣わせよう)
この者達(悪魔)に対して、まるで何もできていない。
そう思って、屋敷を出る秋良。