空想世界に出現した女神との戦闘は休戦し、彼女は少年と共に魔王の支配下に置かれた。
騒動はひとまず収まったと思われていたが、魔界の一角で、密かにざわつく声があった…。
―――
「―――かまいすぎじゃない?」
「だよねぇ。」
「アタシらの事ほっぽってさあぁ?だいたいあの二人、敵じゃん」
「そーだよねぇ」
「あのさ!あの白いオトコノコ、お気にらしーよー」
「うわそーなのー?!アンタらこないだ持ち帰ってたらヤバかったじゃん!」
「でもアタシらから見たら問題なのはそっちじゃなくて、あの白い羽のを―――」
喫茶店ブルースカル、薄暗い店内でこそこそと話す数人の悪魔の微かな声が聞こえる。
「ちょっとちょっとぉ~~?なに話してんの」
たった店の今入口から入ってきた悪魔、レイカが興味ありげな顔をして悪魔の塊の前に立っている。
皆話すのをやめ一斉にレイカの方へと顔を向けたので、シンと空気が静まったように見えた。
日頃からレイカとつるんでいるキサナとアリーシャは、皆が顔を向ける前から固く閉じていた口をようやく開けた。
「あ~あ~いい、いい。つまんない話してたから掘り返させないで」
「それよりもーっといい話あるんだけど聞くぅ?話したらアンタ絶対飛び付くヤツ☆」
「ええ~っなになになに!聞かせて!」
「噂話なんだけどぉ~☆…」