追想

「彼女は空想世界を創った張本人」
「自らの手でこの世界を壊した、罪人さ」

「私が…」「壊した…」「罪…びと……?」

少年に目線を戻した。

「君に関係は、」無い、と言おうとして。

「ある!オレが女神を、檻から出して…、ここまで連れて来た!!」

真実を言ってもなお、態度は変わらないか。

「そうか。では、同罪だ。君にも処罰を下そう」

パチン
指を鳴らすと、世界が暗転していく。
闇が払われ、景色が現れた。

「創造神の最期だ。相応しい場所で行うべきだろう」

君は、覚えていないだろうが。
ここは、かつて、君が火の海にした、花畑の跡地さ。
荒地となり、住民も住みつかなくなった。
魔界の街のど真ん中で、甚だしく処す趣味はないというのもあるけれどね。

「始めよう」

「…っ」

「そうだな」

目つきが、変わった…?
先程までの鋭い目が。
穏やかな、諭すような眼差しに変わっていた。

「オレ、プラントさんに頼まれたんだ。『世界を変えてくれ』って」
「もし、お前の言っている事が本当で、世界を壊したのが女神だとして」

「間違った事をそのまま放っておいたら、何も変われないんだ」

「世界も、女神も」
「あなたも」

「僕もかい?」
「あぁ」

「へえ」
「ただの人の子だと思っていたけれど。面白い」

闇の炎を灯し、抑圧から解放された剣を振り回す。
かわされる。が、少年の動きは遅い。
「!」

すんでのところで、剣はかわされた。
足元を潜り抜けようとしてマントの炎に頭を突っ込んでしまった少年。
転倒し、地に伏せる。

足で背中を押し付ける。
「がっ」と跳ねるように呻いた。

「涼春っ!」

暗黒の空に、剣を高く構える。
その剣先を少年に向けて。

あとは、
一思いに突き刺してしまえ。
悪に染まった心に、従う。

「これが、女神に見せてやりたかった世界だ」

花弁が空に舞う。
見下ろすと大地に花が、咲き乱れている。
この光景は…。

「魔王」
「オレに女神を、託してくれ」

かつて、彼女が、愛していた世界だった。