直す屋とGateの話

直す屋直人とgateの話 Xデー

獣道がうっすらと残る緑豊かな森。時折、顔にかかる木々を掻き分けて進んでいく。ひっそりと佇むボロボロのレンガのトンネル、その中央は黒くもやもやとしている。その黒いトンネルを通って、本来Gateがあるべき場所へと帰っていった。潜り抜けた先にあっ…

直す屋直人とgateの話 最終話1

ある日の直人とGate。朝から昼間へと猛烈な早さで進む窓の外からの光を浴びながら、お直しのために開店準備をしていた。そんな中、直人に言われて裏の部屋へ道具を取りに行ったGateは、ある物を見つけて帰って来た。勝手に持ち出して怒られるかと思い…

直す屋とGate 5

真っ暗で恐ろしい雨風が家中の壁や窓をガタガタと言わせている夜。傾いたお昼時のようなぴかぴかのイエローの照明に照らされる部屋の中で、頭のネジを威勢よく巻いた直人は早速人形のお直しに取り掛かった。乱雑に積まれた工具やガラクタに囲まれて、あーだこ…

直す屋とGate 4

次の次の次の日。ガチャン。小うるさく受話器を置く音が響いた。直人がため息混じりにネジ頭をガシガシと掻きながら奥の部屋に入っていったのを見て、Gateはこっそり家を抜け出した。円弧を描くような洒落た配置の石畳に立ち並ぶ家々と街灯の一辺は、終わ…

直す屋とGate 3

激しくドアを叩く音がする。お客さんが来たときのベルは鳴らなかった事に疑問を感じつつ、気配を察していると「いい。奥に行け」と言われてしまったgate。直人が、玄関まで進むと扉も開けずに受話器を取り、その場で話し始めた。ガチャン。受話器を置く音…

直す屋とGate 2

数日経ったある日。窓の閉じきった部屋の中に風が吹いた。その部屋の中、ネジ回しを片手に直しの練習をしていたgateは驚いて辺りを探ろうとじっとした。(人間でいうところの耳を澄ます感じ、研ぎ澄ませる的な)「ほー。お前さん、分かるか」玄人の目付き…

直す屋とGate 1

見た目ハロウィンみたいな場所で夕方と夜しか来ない。皆が知っているような見た目の人間は一人もいなくて、なんとか人の形に見えるような影がたった一つの通りをすれ違っていく。そんな、小さな世界にある、小さなお店。どんなものでも直す人と、心を持った世…